CROSS†CHANNEL 〜この想いを乗せて・・・〜

 ・・・─────桐原冬子


  人のいる世界に戻ってきて半年くらいかな。群青にバカが減って変わらないなぁ。
冬子「この服も慣れてきちゃったし」
  私は群青の制服を着るようになった。何でかって聞かれても分かんない。けどここの生徒になってもいいかなって。今更だけど。いつもの机で外を見る。いつあいつがまた声をかけてもいいように。他に声をかけてなんてくれないし。 あのラジオを聞いてから放送部は本格的に始動を始めて私もいやいや付き合ってやってる。きっかけは島君と宮澄先輩の誘い。
冬子「メッセージを送ろうなんてばかげてる。でも・・」
 でも、もしあいつに、太一に聞こえたなら・・・いいかな。やっても。今日も参加してきた。といってもただ元3バカの話聞いてるだけ。未だにDJ決まらずに騒いでた。
冬子「あ・・もうすぐ。」
 今日は群青ラジオが入る日曜日。といってもいつもってわけじゃないんだけど。いつもこの日はイヤホンを耳に太一にもらったラジオで放送を待ってる。
冬子「今日は聞けるかな?CROSS†CHANNEL。全く、ちゃんと聴けるように放送しなさいよね。全く。」
 ザザッザザザ・ズザザ・・・・
冬子「あ・・・」
太一「あーあー聞こえますか?」
冬子「きたぁ。」
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?30回目ぐらいですか。分かんなくなっちゃいました。」
冬子「あのバカ。」
太一「今日も元気に放送中です。今日は・・・」
 ほんと何回目なんだろう?私が初めて聴いてから12回目。毎週放送してるんだよね。懐かしいのにいつもそばにいるみたい。何でかな。
冬子「少しは成長してのかな?太一。私あれから少しがんばったよ。まだ太一の言いたかったこと分かんない。だから一人で生きてるんだよ。制服くらいだけど。」
 どういう意味であの言葉を言ったのか分からない。孤高ってなによ。意味分かんない。太一の声楽しみにしてるのに、腹が立ってきた。こんな時反転勝ち気女とか言うんだろうなぁ。バカ・・バカバカバカ
冬子「太一のバカ───!!!」
今度、あの日最後のあの場所に。行ってみようかな?

・・・─────支倉曜子

  いつものように情報収集し、トレーニングを終わらせた。殺風景な部屋で私はあの祠について調べていた。太一がこっちの世界に送還できた事。こっちの世界はループしてないこと。何もかもが普通な普通の世界。太一・・あなたは何を得たの?孤独の世界で。
曜子「会いたい・・・太一・・・絶対」
 放送部の活動には手を貸したくないけど。手がかりはあそこにある。
曜子「太一・・」
 挑戦していいって言った。だから今度は半分じゃなくて太一の全部を愛するために・・・
曜子「・・・」
 太一の声聞けるかな?もうすぐ。のはず。太一のラジオ。太一が一人で作った放送局。寂しい?ちゃんと聴いてるから。2回目聴いたときから録音も欠かさずしてる。太一の声永久保存。
曜子「でも、もっと近くで聴きたい」
 ザーザザーズズズザッ・・・
曜子「ん。」
 来た!録音開始。今日は15回目。推定第28回。チューン安定。この前よりきれいに入りそう。
太一「あーあー聞こえますか?」
曜子「・・・」
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?30回目ぐら                いですか。分かんなくなっちゃいました。」
太一「今日も元気に放送中です。今日は・・・」
 一人の世界、太一だけの世界。私今も変わってないと思う。あのころ、太一がいた頃と今と。
曜子「くすっ」
 こっちもう冬だよ。太一暑いなんて言ったら笑われる。季節感のないセリフを言う太一に思わず顔がゆるむ。この後祠に行くんだろうな。また行ってみよう。太一の最期の笑顔の場所そして本当に好きになった場所。
太一「・・・・今日はこの辺で。また来週。それまでがんばっていきましょう。」
 停止ボタンを押し、録音を切る。すぐさま今の周波数を解析、予想方角は不明。今までの集計と比べても特に変わらない。周波数には一定の特徴があるのか日によって3種類程度のパターンがある。それはこっちの世界の天気に大きく影響しているらしい。
曜子「分かんないままか。」
 分かってはいてもやっぱりショック。太一に・・・近づきたい。待ってるだけ・・・なんて無理。
曜子「こんな時は、ごめん。なのかな。」
 こういう事してると嫌われそう。でも・・・太一

・・・─────宮澄三里
・・・─────島友貴

  どうしてかなこんな気持ちこれからもよろしくお願いします。なぜかラジオを前にお祈りをしちゃう。毎週日曜日、部活が終わって屋上に来ている。
三里「何でだろう。ぺけくんの放送をここで聴きたくなっちゃうんだよね。」
 ペケ君もここに来てるんだろうなぁ。私たちの放送部も早く放送開始しなくちゃ行けないのに。
三里「きっかけは君の声を聴いたからです・・・」
 あのラジオの後。放送部は集合しこちらからも放送しようと決めた。誰かのために、聴いてくれてる人たちのために、そして黒須太一君のために。
三里「ぺけくんに私たちの想いを送りたいんですよ。」
 まだアンテナしかできてないけどね。伝えたいこといっぱいあるんですよ。友貴とのことも、みんなのことも。そしてお父さんのことも。ぺけくんには関係ない事かもしれませんが、山を毎週掃除に出かけているんですよ。いつでも君が帰ってきてもいいように。
三里「友貴も桜庭君も桐原さんも山辺さんも引っ越した佐倉さんもきっと元気だと思いますよ。ぺけくん。」
友貴「独り言なんて寂しくないか?姉さん。」
三里「あっ友貴。」
 友貴まだ残ってたんだ。部室にいたのかな?
友貴「また太一に伝言?こんなとこでラジオかよ。僕にも聴かせてよ。」
 むぅ盗み聞きしてた?恥ずかしいなぁ。
三里「不正盗聴停学!!友貴!!」
友貴「はぁ?また意味の分からんことを。」
三里「私の大切なおしゃべりを盗み聞きしたじゃない。」
友貴「何だよそれ。たまたま来ただけじゃん。」
 ラジオ聴きにに来たんでしょう?私を探しに来たんじゃない。やっぱり・・・
三里「フフフッハハっ・・・」
友貴「今度は何?」
三里「ん〜ん。ごめん。なんか友貴と話すのも普通になって来ちゃったなぁって。」
 いつからだろう。こんなに普通にっていうか二人の壁が薄くなったのは。全部あの日から動き始めたんだろうなぁ。元の世界に戻ってきた日から。たぶんそう。ぺけくんのおかげだろうな。
友貴「ま、まぁ。そんなこともうどうでもいいじゃん。てゆうかそろそろラジオ。太一の放送じゃないの?」
三里「そうだったわね。」
 ラジオのボリュームを最大にして両手で友貴と並んで聴いた。
 ザザッザザザ・ズザザ・・・・ 太一「あーあー聞こえますか?」
友貴・三里「聴けたぁ」
友貴・三里「あ・・・」
 こういうのも姉弟なのかな?
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?30回目ぐらいですか。分   かんなくなっちゃいました。」
友貴「相変わらずだな。」
三里「そうね。」
太一「今日も元気に放送中です。今日は・・・」
 いつも通りですね。ぺけくん。天気はいいのですか?ちゃんと今日も聴いてます。
友貴「ねぇ、姉さん」
三里「え、なに?」
友貴「会いたいと思わない?太一に。もう1度。」
三里「そうだね。ふふふっ」
 やっぱり友貴もなんだ。
友貴「なんだよぉ。気持ち悪い。」
三里「ごめん。友貴も同じ事考えてたなんて、なんかおかしくて。いい部員持ったよね。」
友貴「部員の前に友達だから、だけどね。」
三里「そっか、その通りだね。」
 あの場所。最期に私たちがペケくんと会った。あの祠に行こう。みみ先輩はあなたに会いたいです。
三里「友貴。」
友貴「なに?姉さん。」
三里「今度祠に行かない?いろんな事が動いた場所に」
 きっとまた何かが動くかもしれない。そう思う。だから・・・
友貴「いいよ。僕も生きたいと思ってたから。」

・・・─────佐倉霧

  引っ越して、普通の学校に転校して普通の生活と普通の私になってもう何ヶ月かな?美希とは携帯でよくメールをしてるし、だからって一人って訳じゃない。今の学校でも友達はいる。普通の普通に接してくれる友達が。あの頃とは違って。
霧「あ、もうすぐ時間だ。」
 今日はラジオの時間。先輩の。
霧「間に合うかな?」
 急いで家に帰る。太一先輩。今は部活に励んでます。誰かと一緒にいるのが楽しいです。先輩のおかげで、人を信じるようになりました。もちろん美希のおかげでもありますよ。
霧「FLOWERS・・・か。」
 今は引っ越しちゃったんで美希とは離ればなれ。FROWERSも解散しちゃいました。
霧「先輩がつけてくれたものだったですよね。FLOWERS」
 勝手に独り言言っちゃってるよ。恥ずかしい。でももし先輩が居たらまた人形とかくれるんだろうな。セクハラしながら。
霧「クスッ」
 いなくなっちゃうなんてひどいよ。私から2回も居場所を奪っといて。気がつくと。先輩の人としての思いやりに生きる勇気をもらいました。 先輩は多くのもの失って代わりに悪魔の心を得たのかもしれない。その悪魔は誰よりも人の傷を分かってあげられるのだと思います。きっと。先輩は誰よりも幸せにならなきゃいけなかったんです。私は今でもあなたの愛奴隷ですよ。
霧「愛・・・」
 顔が赤くなるのが自分でも分かる。な、な、なんて事言おうとしてるんだろう私。でも先輩が戻ったって分かったらこの世界から先輩の幸せを見つけてあげるんだから。
霧「ただいま」
 ラジオの電源入れて、電池は大丈夫かな?
霧「今日も聴けるかな?CROSS†CHANNEL」
 ザザッザザザ・ズザザ・・・・
太一「あーあー聞こえますか?」
霧「先輩・・・」
先輩の声だ。今日もっ届いた。先輩分かってるのかな?私聴いてるって。
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?30回目ぐらいですか。分かんなくなっちゃいました。」
太一「今日も元気に放送中です。今日は・・・」
先輩いつもとかわんないなぁ。あの時のまま。先輩の中では変わってるのかも。でも何でかな。変わって欲しくない気もする。
霧「太一先輩。私・・・強くなりましたよ。怖くなくなりました。」
きっとどんな事でも。ぽっかりなんにもない世界よりずっといいです。
太一「・・・・今日はこの辺で。また来週。それまでがんばっていきましょう。」
霧「あ・・・」
 ついうつむいてしまう。寂しい。会いたい。
霧「会いたいよ。先輩」
 あの祠にまた居てみようかな私と先輩の最期の時間を過ごした日。目の前で居場所を奪われたあの場所に
 ピリリリリッピリリリリッ・・・
 美希?携帯に美希(ふらわ〜ず)と表示され着信中となっている。
 ピッ
 霧「もしもし美希?・・・」

 ・・・─────山辺美希

  FLOWERS解散から2ヶ月。あたしはあたしでがんばってきてるつもり。自分の群青色もなんとかうまく扱えてる。 霧ちんとのコンビは一時解散になったけど。連絡はよく取ってる。本音をいえば満足してるって訳じゃない。けど与えられた。
美希「ん〜ん。もらったんだよ。先輩から。」
 どんなに自分を優先しても駄目な気持ちもあった。先輩を思う気持ちは自分の中では病気よりたちが悪い。
美希「人を好きになる気持ちはどれにもまけないんですね。隊長」
 前に、まだ先輩がいた頃。あたしがこの学校に来たばかりの頃。愛貴族について教わった。もちろん先輩の勝手つくったでキザったい文句でしかなかったのだろうけど。今なら愛貴族部隊隊長黒須太一殿・・・
美希「本官は隊長の言ってる意味が深く分かります。」
 今は部活もがんばってる。ていうか宮澄先輩が優柔不断なまま出し。今日も楽しい雑談会のみをして部活から帰ってきたとこ。
美希「あ、そろそろ・・・」
ここはたぶん部員の中でも一番先輩に近いとこから聴いてると思ってる。たぶんだけど。
 ザザッザザザ・ズザザ・・・・
 太一「あーあー聞こえますか?」
美希「はい!聞こえてます!」
 先輩。美希のとこにも届いてます。
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?30回目ぐらいですか。分かんなくなっちゃいました。」
美希「忘れちゃ駄目じゃん。」
 今日もラジオ聴いてますよ。もう何回目ですかね?あたしが聴いいてるのはほんの少しだよ。たぶんここに届いてるよりずっと多く放送してるんだろうなぁ。先輩のメッセージ全部聞き取れなくてごめんね。って先輩に聞こえるわけ無いんだけど。でも伝えられるなら伝えたい。この想い。そして・・・・
美希「責任取ってよね。恋心と一緒に奪っていたあたしの処女奪ったんだから。」
太一「今日も元気に放送中です。今日は・・・」
 なんでかなぁ。口にしちゃうの。声に出しても届かないのに。んったく人の気持ちも知らないで。先輩はぁ。・・・はは
美希「それでも愛貴族かぁ!!!ううぅっひっく」
 さみしいよ。久々に泣きたくなった。霧ちんと最期にあった日以来だよ。こんなに恋しいの。先輩戻ってきてよ。会いたいよ。
太一「・・・・今日はこの辺で。また来週。それまでがんばっていきましょう。」
 霧ちん聴いてるかな?CROSS†CHANNEL。急に声が聴きたくなった。最近はメールが中心で電話なんてしなくなった。霧ちん部活忙しいって言ってたし。う〜ん。本当は放送部も忙しいはずなのになぁ。まぁ仕方ないかこなすだけが部活じゃない。
美希「あ、もしもし・・霧?」
 霧はいつも通り電話に出るなぁ。ラジオ聴けなかったのかな?
美希「ラジオ聴いてた?」
 霧ちんは何ともない感じで相づちをうってた。もしかして、うわずってたの気づかれた?泣いてたのばれたかな?もしかしてエスパー?
美希「そんなぁ。」
霧「ん?」
あわわわ。やばい。
美希「今度、泊まりに来ない?もうすぐ冬休みだし。部活でよぉ?霧ちんもぉ」
 これからの季節もっと暖かい自分でいたい。寒さに負ける美希様では無いのです。先輩。
美希「へへへっ」
霧「どうしたの?美希なにかあったの?」
お〜っとっと。よけいな心配はさせちゃ駄目。霧ちん心配性だし。
美希「じゃぁ、いつがいいかな?」
霧「拒否権ないし、いいけど。ていうより行きたい!」
 今度、霧ちんとあの祠に行ってみよう。たぶん。太一先輩に会えそうな場所。

 ・・・─────桜庭浩

  気がつくといつも行動に移ってる。たぶんこんな俺がやってけるのは両親が金持ちであることとそんな俺でも受け入れてくれる友がいるからだろう。もちろん今だって太一は友だ。CROSS†CHANNELの意味を一番分かってるのは俺のつもりだ。
桜庭「そろそろだな」
 放送が始まる。といつも思ってる。ほかでは幽霊ラジオとか言ってるらしいが、そんな軽いホラーなんかじゃない。もっと魂がこもってるんだ。この放送には。
 ザザッザザザ・ズザザ・・・・
 太一「あーあー聞こえますか?」
 いつも通りだな太一。お前はずっとそこにいるのか?そんなことだから俺の恋心はいつまでたってもはたらかんのだぞ!!
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?30回目ぐらいですか。分かんなくなっちゃいました。」
・・・・・・
太一「今日も元気に放送中です。今日は・・・」
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
桜庭「・・・・ZZZZ」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
太一「・・・・今日はこの辺で。また来週。それまでがんばっていきましょう。」
桜庭「はっ!ドリームワールドにトリップしてしまった!」
 サ────────────・・・・・・
  あちゃぁおわってたか。あはは・・・またあの祠いてみるか

 黒須太一────・・・

  どこまでも続くループ世界。たぶん。この青空と同じように存在が透き通っているのかもしれない。ずーっと行くと。宇宙みたいなとこに出て、思い出だけがきらきらと星のように輝いているのかもしれない。七香の、母さんのくれた世界。たぶん。俺がんばってます。強く人として生きてるよ。
太一「よーし今日も放送しよう。群青放送部始動!!」
 この世界だって何もない訳じゃない。普通の世界の記憶がおいて行かれたままなだけ。気がつくと。一人なのに一人じゃない。思い出たちに囲まれて誰よりもどこよりも過去を振り返れる場所。いつも懐かしいんだ。ここ ではでは、
太一「あーあー聞こえますか?」
太一「こちら群青高校放送部です。がんばって生きてますか?この放送も、もう何回目でしょうか?32回目ぐらいです。たぶん」
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
太一「・・・・今日はこの辺で。また来週。それまでがん   ばっていきましょう。」
 よし!! 今日も放送終了!祠へGO!!
七香「やほう!」
太一「母さ、七香!!」
 この体型に制服姿の七香を見て母親は似合わない。照れくさい。すっげー恥ずかしい。顔見ると飛びつきたくなっちゃうよ。ははっ
太一「ははは!びっくりしたぁ。本当不意をついて現れるなぁ。曜子ちゃん並だよ。いやそれ以上か。」
七香「今こんのあたしをおばさん扱いしようとしたなぁ?まぁ思い出しちゃったんなら仕方ないか。でもかなり若かったんだぞ!太一」
太一「あぁ。でどうしたの?」
 何となく直視したくない。暖かい瞳がこっちを見つめてるんだろう。うつむいたまま泣きそうだよ。
太一「・・・ん?」
 やっとの思いで上げた顔の先には真剣な顔をしていた。いやそんな顔は初めて見たけど。でもなんだろう。
七香「お疲れ様。太一」
太一「え?」
 ふっと笑顔に戻った七香にちゃんとした言葉が出なかった。
七香「何その返事は。そんな事はどうでもいいんだ。」
 いつものように良く分かんない事言う。
七香「祠まで一緒に行こう?」
太一「うん。」
 俺と七香は急いでグランドに出た。グランドには七香のマウンテンバイクがあった。当然七香はそれに乗っていく。俺走りかぁ。
太一「ちょいっ待てって!」
七香「早くしないと、巻き戻されちゃうよぉ」
 七香はご自慢のウィリーを披露しながらせかす。あ!白。こういうとこは敏感なままだなぁ
太一「こんなにも一緒に居るの初めてだね」
七香「そうだねぇ。太一の横を歩くのひさびさぁ。」
 山道を歩いていた。が七香が現れたことへの気持ちに素直に表現できない。
七香「本当毎週お疲れ様。」
太一「ありがとう。それが俺の今できる事だし」
七香「本当お疲れ様こんなにいい子になったなんてねあたしはうれしいよ。もう・・・」
太一「何言ってるんだよ。セリフがおばさんだよぉ。」
七香「いいじゃん。今までご苦労さまでした。これからは・・」
太一「やけに褒めるね。なにがあるんだ?」
七香「これからはもう無理しなくていいんだよ。」
 聞いてないし、何が言いたいんだろう?
七香「もう・・・」
太一「どういう事?」
 祠について七香は歩き始めた。祠の前に。何が起きるんだ?
七香「太一ぃ来て来て!」
太一「あ、あぁ」
 七香に突然抱きしめられた。何がしたいのか全くつかめない。
七香「もう無理しなくていいんだよ。これからは・・・もうすぐループが始まるよ。目つぶって。」
太一「何言って・・・」
 世界が茜色に染まったのに気づきゆっくり目を閉じた。そしてふわっと体の抱擁がとけたように無くなった。
太一「七香?・・・・・・・・えっ!!!!」

 〜緩やかに流れる世界〜

  太一たちに変わって語り手は七香が担当します。それぞれが元の世界に送還されてから半年。それぞれの思いを胸にそれぞれの道を進み始めて、何週間目か、太一を慕う者たちがここに集まった。それぞれの太一への思いを胸に。 最初に現れたのは桐原冬子さん。ゆっくりと制服姿で。
冬子「この辺りに立たされたんだよね。」
ゆっくりと足をその場所へと向け、太一との最期の瞬間をまぶたの裏に描いているみたい。目を閉じ、
冬子「太一・・・」
 そして目を開いた。特に変わらない景色に複雑な表情を浮かべてる。期待でもしてたかな?そんなはず無いか。そしてゆっくりと辺りを見て回ることにしたみたい。祠の周りを歩き始めた。その時
曜子「桐原。」
 支倉曜子さん登場。思ってたより遅い登場だね。支倉さんは一瞬たじろいだがゆっくりと茂みから出てきた。七香的には好敵手(ライバル)ふたりが会うのはおもしろい。
冬子「支倉先輩?・・・どうしてここに?」
曜子「それは・・こっちが聞きたい。まぁいい。」
 少しの間が開いて、ふたりはお互いの理由を悟ったみたい。祠にかける想いは同じだろうってね。そして黙っちゃいました。 ふたりは並んで祠を見つめてる。変な感じだなぁ。 で、一方そのころ。山道の入り口では、
三里「友貴待ってよぉ。速いぃ。」
友貴「姉さんがとろいだけだよ。思考もとろいけど。」
三里「なんか言いましたぁ?ふぅ。」
友貴「何でもないよ。あれ・・?」
 きたきた!来ました。シスコーン姉弟。いつもどぉりだねぇ。相変わらずだなぁ。
三里「どうしたの?」
友貴「先客が居るみたい。」
 ふたりは草むらをかき分けて出てきたとこで先にいた冬子と曜子が気づいた。一瞬お互いを見つめ合うがすぐに和んだようになる。
三里「こんにちは、早いですね。お二方とも。」
冬子「そんなこと無いですよ、宮澄先輩。」
 冬子さんが正面を向いて優しく答えた。曜子さんも横目で
曜子「久しぶり。」
三里「お久しぶりです。支倉さん。」
 このお互いが共有してる空間に友貴くんはおどおどしてる。自分も何か言おうかどうか迷っているっぽい。けど。その隙もなく沈黙が優先された。
友貴「不思議な感じがするなぁ、ここ」
 友貴くん発言不要だね。みんなそうだと思うよ。
桜庭「いてててっ」
 そこに突拍子もなく現れた桜庭くん。空気がよごれたぁって顔をしてる冬子さんと曜子さん。
冬子「三馬鹿の二人目が来た。」
 冷たくその場を説明してる。
曜子「はぁ」
 あきれ顔の曜子さん。横で部長さん笑ってる。
三里「フフッ桜庭君らしい到着の仕方ですね。」
友貴「本当空気が濁った。」
 友貴くぅんストレートぉ。
桜庭「ん?なんでみんないるんだ?ここどこだ?」
 辺りを見わたして、納得といった感じで手をたたいた。
桜庭「山の裏手の道探索したらいつの間にか迷子になってて、うろうろしてたらここにきちまったみたいだ。」
 誰もそんなこと聞いてないがみんながそれを聞きたがってると勘違いしちゃってるみたい。なんか状況説明してるよ。相変わらず部長さんはくすくす笑ってる。壺に入ったのだろう。
桜庭「で何してるんだ?お前ら」
友貴「何も聞くな。愚問だ!」
 桜庭くんは周りの雰囲気を読めなかったみたいだけどそれ以上聞こうとしなかった。
美希「あ〜!先輩たちきてたんですかぁ?」
 美希さんと霧さんがひょっこり顔を出した。FLOWERSのふたりは並んで出てきた。手つないでにこにこしながら。再会したことがよっぽどうれしかったのかな。笑顔が崩れない。
霧「お久しぶりです。先輩」
 霧さんはすっと真顔になると頭を下げた。どうもぉっと手をあげている美希さんとはこういうとこで違いが出る。違うものが咲いてるから美しく見える花たちなのかもしれない。そう思うと太一のセンスに感心しちゃう。
三里「結局放送部全員集まっちゃいましたね。」
桜庭「みたいだな。」
 みんなの顔がほころぶ。いつも無表情な曜子さんも口元がゆるんでる。辺りがゆっくりと茜色になっていった。冬の夕暮れは早くそして寂しい。夕日とともに祠が茜色に輝いて・・・ 気がつくとみんなが居た。

太一「・・・え?あれ?どうして?送還したはずじゃ。」
 あっけにとられた。周りには俺の思い出の人たちがいる。大切な仲間が。
太一「みんな・・・・」
三里「お帰りなさい。ぺけくん。」
 最初に口を開いたのはみみ先輩だった。そしてみんな次々と『お帰り』って言ってくれた。
太一「夢みてんのか俺?」
冬子「バカねぇ。まったく・・・でもそんな格好で寒くないの?」
太一「へ?へぇ?ふぇっくしゅ。」
 今気がついた。ここめちゃ寒い。あり得ないていうかみんな冬服じゃん。こっちはもう冬?
曜子「はい。太一、コート」
 曜子ちゃんがコートをくれた。抜かりない。この人はかなりやる。ちらっと冬子を見てにやっとしたように見えた。よく分からないけど、冬子もなぜか怖い顔している。
桜庭「君ら何火花散らしてるんだ?」
 桜庭の疑問にとりあえず無視されたらしい。やっと状況を飲み込めた頃には冬子はすでに妖刀ハラキリを召還していた。
太一「おおおお〜い」
 その時後ろから抱きつかれた。美希だ。
美希「せんぱ〜い。あいたかったよぉぅ。」
霧「あ!ずるい美希だけ、私も!」
 こういうのも両手に花なんだろうけど。霧は美希の後ろから俺の腕を引っ張ってる。
太一「痛い!はなせ」
 こいつらぁ・・・
美希「もう、絶対はなさないんだから・・・」
 美希は泣いていた。ぽろぽろと茜色に染まった涙を流して。
霧「先輩。私、先輩に・・尽くしてあげてませんよ。・・・これから・・・豊の分償うんだからぁ」
 やっぱり泣いていた。美希と同じように。FLOWERSはきれいに?泣いていた。
霧「私は先輩の愛奴隷です!」
美希「あたしのロストヴァージン責任取りなさいよぉ!」
 泣きながらとんでもないことを言っている。 冬子と曜子ちゃんがぎらっとこっちを向いた。たぶん愛奴隷と処女に反応したのだろう。お互いの火花はすっと消え、殺意が俺の背中へと抜けられた。
太一「お、おいそれは」
 もうやけくそだぁ!!いけぇ!!久々の!!スカートめくり(ダブル)
太一「おお!!ほ、ホワイト!純白。ふたりとも白じゃん!   ダブルホワイト!!!WW!!!!」
 何の抵抗もなかった。美希は泣くのに忙しく、霧はなぜか幸せそうな笑みを浮かべている。正直怖い。次の瞬間。
冬子・曜子「はっ!!」
 冬子のハラキリ剣法峰打ちと曜子の肘打ちが背中に決まった!一瞬意識が消えかけた。
友貴「相変わらずだなぁ。」
桜庭「ああぁ。いい!」
友貴「何がいいん?桜庭。」
桜庭「ホワイト。」
友貴「そこかよ!」
 何とか立ち上がって友貴たちと目があった。友貴はあきれた顔をしていて、桜庭は『うんうん!』と頷いている。
太一「ただいま、友よ」
桜庭「あぁ。」
友貴「遅いっつの。かっこよすぎだよ。」
太一「わははは。いいだろう。これぞ愛貴族の俺だからなせる技。」
友貴「全く。」
 友貴はやれやれといった感じでため息混じりに吐いた。桜庭はというと・・・・?目を輝かせていた。なぜ?
桜庭「まじかぁ?惚れ直した。太一。」
 と、飛びかかって・・
太一「くるなぁぁ!!!」
 と唐突に影からみみ先輩が。
三里「今まで一人でよく頑張りました。」
友貴「そうだな。」
美希「と、まぁそういうことで。これからもがんばってくださいですぇ。」
霧「そうだねぇ。」
太一「お、おいなんでだ?他がやってもいいじゃん。」
桜庭「それは無理だ。俺たちこんなだし」
太一「誰のおかげで、お前らを・・」
桜庭「友情は・・」
友貴「見返りを・・・」
太一「求めない。・・」
 おまえらぁ。
 ガサガサ・・・・・
 草むらから遊紗ちゃんが出てきた。みんなの視線を集める。びくっとして後ずさる遊紗ちゃん。
遊紗「あ、ああああ、あの。ここここんばんわ。あの、太一さん。おおお、おお疲れ様でしたっ!!」
 みんなの顔がやわらいだ。
太一「あぁ。」
 遊紗の顔がぱぁっと明るくなった。
桜庭「さてと、この幸せ者をさらってくか。これ以上花園に立たせるのはもったいないしな。」
友貴「それいい!独り占めは友情に反する!!」
太一「いいだろう?今ぐらい。」
 あわてて逃げ出す俺。振り返ると、祠の向こうに七香が立っていたように見えた。目をこすってもう一度見上げると、誰もいない。
美希「捕まえたぁ。誰にも渡さないんであります!」
冬子「こら、山辺離れなさい。後輩でしょう?遠慮はないの?」
霧「すいません。桐原先輩。それ今だけ無理です。」
曜子「夕日に・・・惑わされる花たち・・」
 さりげなくひどいことを。
太一「母さん・・・」
三里「何か言いました?ぺけくん」
太一「何でもないです。」
 一瞬見えた母さんは笑っているようだった。ずっとそばにいてくれた。
これからは・・・
太一「よぉしっ!こっから学校まで競争!!田澤商店のジュースを賭けよう!!」
美希「先輩逃げるなぁ!!」
冬子「こ、こら!離れなさい!!」
霧「ずるいぃ〜!!」
桜庭「負けないぜ」
三里「ちょ、ちょっとまちなさぁい!」
遊紗「え、え、ええ!??」
友貴「ば、っばかか。俺走れねぇんだから!!」
 みんなおいてくぞぉ。
太一「わはははっ!!やっほぉ!」
曜子「太一には負けない。」
七香「よかったね。あんたを必要としている人がこんなにもいるんだよ。今度こそ幸せになりなさい。私の最期のプレゼント。」
 静寂に包まれた祠に一人の少女が。ぽつんと、立っている。
みゆき「えーあのぉ。もしかして、私気づかれてない?ていうかみんな急いで行かないでよう。せんぱぁい!!待ってください。」


  記
  憶
  と
  綺
  麗
僕達はこの残酷で厳しい「世界」で
  切
  な
  い
  涙
  を
  胸
  に
  生
  て
  い
  る
 

                                        CROSS†CHANNEL

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